狂ったか新文芸坐

オールナイトなのに「銀河鉄道の夜
気をつけて、マジで狂ったとしか思えないオールナイトがやってくるよ
オールナイトなのにその日の最終上映が「銀河鉄道の夜」という挑戦的なプログラム、いったい何人の客が目覚めたままで朝を迎えられるのか。ここだけオーケンが冗談で言ってた激眠映画祭(眠い映画だけを上映する殺人的なオールナイト)になってしまうぞ。
 
銀河鉄道の夜」とは一般的な映画ファンの間では押井守の実写映画や「惑星ソラリス」「子猫物語(チャトラン)」などと並んで眠い/寝てしまう映画のひとつに数えられるもので、最後まで観たという人は滅多にいない(と思う)。
 
問題のラインナップはここの2006年4月1日で確認できる。
> 日本映画監督協会創立70周年記念オールナイト第五夜
> イマジネーション無限大∞特撮&アニメ
というタイトルだけど、「銀河鉄道の夜」を上映する意図は?ラインナップから読み取ってみよう。
> 大魔神 (1966/大映)
 アゲアゲで怒るからイマジネーション無限大∞

> 千夜一夜物語 (1969/虫プロ)
 虫プロの意欲作「大人のためのアニメーション」"アニメラマ"で、幼い子にトラウマを植え付けその中から井口昇のような天才を覚醒させたという点でイマジネーション無限大∞ 

> ガス人間第一号 (1960/東宝)
 怪人と人間の悲恋てテーマや優れた特撮技術、そもそもお子様向けじゃないところがイマジネーション無限大∞

> 銀河鉄道の夜 (1985/ヘラルド)
 夢の中でイマジネーション無限大∞
 ねこちゃんの目玉くるくる変わる見つめているとイマジネーション無限大∞
 
銀河鉄道の夜」を最後まで観た事が無いのでもしかしたらイマジネーションを刺激するような表現があったのだろうか。だとしたら誰かに確かめて来てもらいたいが、4/1って事で、何かの冗談ですよって意味かな。いずれにしてもなんでそこに「銀河鉄道」なのか分からなかった。もしかしたら宮沢賢治のイマジネーションをこんな風に解釈して映像化してしまったこの人がイマジネーション無限大∞っていう出席裁判みたいなイベントなんじゃねえか?ゴールデン・ラズベリーの授賞式に出席した唯一の監督ポール・バーホーベンみたいに洒落の分かるナイス大人なのか。
 
とすると「なんでこんな眠いの?ってか誰向け?子供寝るって、大人はこんなモンに時間さいてるほどヒマじゃねーって」とか失礼な事を聞けるような司会者なのだろうか?山内大輔という人をjmdbとかで調べてみた
「無残画 AVギャル殺人ビデオは存在した!」という衝撃的なタイトルが目を引く、特に「無残画」という言葉のセンスがなんか好きだ。「鮮血の絆 鬼畜レイプ犯を震撼させた姉妹」はデイヴィッド・クローネンバーグ監督「戦慄の絆」とウェス・クレイヴン監督「鮮血の美学」からタイトルを拝借したんだろうな。

というか氏を紹介してる山内大輔監督の世界はこんなに血みどろで字もキタナイ、スゲーぜ(※2)。やったれ山内。

山内は不気味な男だ
(中略)
「幼い頃から赤い血を見るのが好きだった」
なんて言葉がリップサービスに聞こえないのだ

 
という事で推定というか希望から出る妄想ですが、このイマジネーションオールナイトは血みどろ鬼畜監督がこんな芸術映画作りやがってどのようなヤクザ的背景があってあのような眠い映画に?子供にあんなつまんないのばっか見せてるから感動映画ばっか流行るような腑抜けた日本になっちまったんだけどどのように思われすか?みたいなイベントになった楽しいだろうな。
 
 
井口昇がトラウマだったのは千夜一夜物語と同じ「大人のためのアニメーション」コンセプトで作られた「哀しみのベラドンナ」が正確、ベラドンナに限りアニメラマではなく、"アニメロマネスク"とされている。ロマネスク@goo辞書
この「哀しみのベラドンナ」の作画監督杉井ギサブローで、「銀河鉄道の夜」の総監督だ、微妙なつながりを発見。ちなみに「ベラドンナ」の悪夢のような絵を描いてるのは深井国という人で、作画監督が絵を描くわけじゃないんですね、知りませんでした。
 
※2 スゲーぜ: 田中圭一の「昆虫物語 ピースケの冒険」の登場人物、知恵遅れ気味なイモムシのゴロタンの口癖。この項目とは完全に無関係だがいつか紹介したい奇人&奇書。
 
 
【関連】

 ・紹介1より 映像特典:予告編、火あぶりシーン特別編集映像
 ・紹介2より ジャンヌが悪魔に身と心を委ねた後の、イメージが洪水のように溢れかえるシークエンスは圧巻。まるでドラッグムービーです
 ・WEBアニメスタイルより
 「アニメラマ三部作」を研究しよう!山本暎一インタビュー第1回
 「アニメラマ三部作」を研究しよう!杉井ギサブロー インタビュー(前編)より

千夜一夜』の時は「とにかく映倫に通る、モロのセックスシーンをやりたいんだ」みたいな話だった。「えっ、そういうのって、僕ですか」と言ったら、「いやいや、こういうものはギッちゃん(杉井ギサブロー)じゃなきゃできないよ」

芸術なら何やっても許される理論でしょうか?知恵ですよね。ギャロみたいなのには死んで欲しいけど、こういうアプローチは幾らでもやって欲しいものです。というかアニメスタイルのインタビューをまだ隅々まで読んでないけど、何かやたらと意欲的なシリーズで購買リビドーが湧いて来た、せっかくだから映画館に観に行くかもしれません。 しかし酷いはなしだ、冒頭で狂ったイベント来たーとか言っておいて、最後には行ってみたいかもとか言ってる、別におれはぜんぜん狂ってないですよ安心してください。