今敏(こんさとし)「パプリカ」

 //このエントリは「パプリカ」の紹介にすらなっていません
現実と虚構の境界線があいまいになってゆく所にスリルを感じる映画
スリルもいいけど、おれは恐怖が欲しかった。と言っても面白いのでお勧めな映画。
「パプリカ」はけれん味たっぷりの動くアニメだった。
今敏こんさとし筒井康隆表現の第一人者を名乗ってOK。
 ...この他に筒井の映像化作品をあまり知らないおれの知識的弱さはあるけど、それは放っといてくれ。
「虚構船団」的イメージや「市松人形」が多く出てくるあたりツツイストなんだろう。いつか「筒井康隆全集」と冠するようなタイトルの映画を作ってくれないだろうか。
でも、せっかく「市松人形」をあれほど出しておきながら、ストレートな恐怖演出ではなくて、コミカルでバカ明るい中に不気味さと恐怖を醸し出すといった「にぎやかな未来」っぽい恐怖(ぱっと見コメディーだけど、当事者にとっては狂気的悲劇)として映像化されてた。
 
残念なのは「パーフェクト・ブルー」の方がよっぽど「パプリカ」だったこと
パーフェクト・ブルー」(1998,今敏監督)で繰り返し表現された恐怖、何度覚醒しても現実に戻ってこれないシーン。それは目覚めた時に感じる夢見心地的な非現実感やシュールさなどではない。現実を見誤り、自分は気付かないうちに狂ってしまったのか?いま認識している現実はこれで当たっているのか?という不安から生まれる恐怖を描ききった意欲作だった。
 //この映画で良い仕事してるので、筒井作品映像化の第一人者を名乗っても良いと思うのだ。「パーフェクト・ブルー」には原作が存在するが筒井作品ではない。
「パプリカ」に覚醒できない恐怖を描けたシーンはありませんでした、それが残念です。
パーフェクト・ブルー」ではあんなにうまかったのに。
 
今敏WORKS
WOWOWアニメなので知名度は極めて低いと思われる「妄想代理人」や「千年女優」。そこで注力されていた表現は、現実から虚構や妄想の世界へのシームレスな場面移行だった。それこそ今敏の好物であり、得意分野であることは確かである。(おれも大好物。)
作品の多い筒井康隆だけど、今敏と融和性が高いのは何だろう。「朝のガスパール」。意外と「美藝公」なんかやらせたら新たな表現をしてくれそうではないか。「夢の木坂分岐点」は? 作る人がきちがいになりそうでこわい。
 
 
市松人形そこにあるだけでサムネイルだけでもこわい
 
再上映!!
1/13(土)からテアトルタイムズスクエアにて21:20〜22:55、上映されるとの事。設備が尋常じゃなく豪華でとにかく大画面ということらしいテアトルタイムズスクエアだが、けれん味がある作品をあまり演らない。せっかく高画質なパプリカを観れるのであれば、コンパスやナンバリングの気が狂っているかどうか確認しなくては。